始まりは、学生時代のインターン先が立ち行かなくなったことでした。
当時の自分は、なぜその会社が終わらなければならなかったのか、うまく言葉にできませんでした。そこで働いていた人たちの姿と、突然訪れた終わりの唐突さだけが、記憶に残り続けました。
その経験は、どこかで「中小企業」という存在を自分の中に残し続けていました。ただ、当時の自分にできることは見当もつかず、まずは目の前の仕事に向き合おうと、大企業でのキャリアを積んでいきました。中小企業診断士という資格の存在も、頭の片隅にはありました。けれど、それを手にする未来は、まだ想像の外にありました。
転機は、2022年の社長就任でした。経営者という立場に立ってみて、改めて経営の全体を体系的に学ぶ必要を痛感しました。希望的観測では何ひとつ動かない現実。数字と事実に向き合い続ける日々。判断の重さと、孤独。——そうして診断士の勉強を始めたとき、学生時代の記憶が蘇ってきました。
あのとき立ち行かなくなった会社にも、きっと見えていなかった強みがあったはず。誰かが隣で、全体を見渡しながら、共に汗をかく形で関わっていれば、違う未来があったかもしれない。
同時に、日本の企業の99.7%、従業員の7割が中小企業であるという事実を知り、学生時代の記憶が、もっと大きな景色の中に置き直されました。
これまで積み上げてきたもの——プロジェクトを動かす実行力、技術経営の理論、そして企業人としての経営の実体験。これを組み合わせれば、かつてやり残したことを違う形で返すことができるかもしれない。
この事務所は、そこから生まれました。